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歌において最も大切な土台となるのが「姿勢」と「呼吸」です。どれだけ声量を出したい、きれいに歌いたいと思っても、身体の使い方が整っていなければその力は十分に発揮されません。歌は自分の身体そのものが楽器になるため、まずはその“楽器づくり”を丁寧に行うことが重要です。

まず姿勢について。基本は「背筋を無理なく伸ばし、胸を軽く開き、肩の力をふっと抜いて立つ」ことです。背中が丸まる猫背の状態では肺が十分に広がらず、深い呼吸ができません。反対に、腰を反り過ぎても喉が詰まるような感覚が生まれ、声が前に出にくくなります。理想は、頭のてっぺんから糸で軽く吊られているような、自然で心地よい伸びを感じる姿勢です。(下図の左側の姿勢がGood!)

次に呼吸。歌に必要なのは「腹式呼吸」です。胸だけで呼吸する胸式呼吸では、吸える空気の量が少なく、息がすぐに足りなくなってしまいます。腹式呼吸ではお腹の奥に空気が入るようなイメージで息を吸い、ゆっくりと安定して吐き出します。このとき、お腹がふくらみ、吐くときにゆるやかに戻る感覚がつかめていれば正しい方向です。

練習のコツとしては、壁に軽く背中をつけてまっすぐ立ち、両手のどちらかをお腹に添えて呼吸する方法があります。壁に接していることで姿勢の歪みに気づきやすくなり、お腹に手を当てることで腹式呼吸の動きも体感できます。「息が入る通り道を確かめるように吸い、体の中心に溜め、ゆっくり出す」——この一連の動きを丁寧に繰り返すことで、安定した呼吸が身についていきます。

姿勢と呼吸が整うと声の出方が驚くほど変わります。声が無理なく前に飛び、響きが生まれ、喉への負担も大きく減ります。歌唱テクニックのすべては、この基礎の上に積み上がっていきます。焦らずじっくりと正しい姿勢と呼吸を身につけ、自分自身の身体という楽器を育てていきましょう。